惚れ惚れ拝む、岩手山。
盛岡に来てもうすぐ2年になります。今日は盛岡の街、そのものについて書こうと思います。
私は神戸出身で、東京に長く住んでいたので、岩手盛岡はまったくの新しい土地でした。
雪国も初体験だし盛岡の知識も全くなかったので、初めは不安でしたが、神戸も東京も大好きですが、いつのまにかすっかり盛岡の魅力の虜です。
色んな人に言いたい。
「こんないいところなかなかないと思う!」
引っ越してきた日、初めにおどろいたのは富士山のように美しい山があったこと。いままで山なんぞに興味はなかったのですが、広い空に堂々と立つ猛々しい岩手山のその姿に釘付け。
伊坂幸太郎の「魔王」という小説に出てくる岩手山の描写が好きです。
「でかくて、威張っていないのは、清々しい」
私も家の窓から岩手山が見えるのですが、くっきりそのお姿が見える日はいまだに惚れ惚れしちゃいます。
空が広くて空気がおいしい。夕焼けも、星も、すべて手にはいります。
山が青い。盛岡は四方山に囲まれていますが、どれも青くてとても素敵です。
山が青く見えるのは空気がきれいだから。
確かに空気がおいしいのです。これに慣れてしまうと、東京に行くとあまりにたくさんの匂いがするので落ち着かなくなります。
そして早く盛岡に帰りたくなってくる。
夕焼けもびっくりするくらいきれいに見えます。
夕日が沈むところなんて、盛岡に来るまでは普段の生活の中で見る機会なんてほとんどなかったですが、ここでは建物が低くて山がきれいなので天気さえ良ければ毎日のように見れます。毎日写メです。
もちろん星もすっっっごい見えます。引っ越して来てすぐ、星座のアプリをDLしました。だってほんとに見えるので何座か知りたくなります。
都会で自然。贅沢な街の暮らし。
盛岡は意外と都会です(失礼ww)。
歌舞伎やテーマパークなどの娯楽や、大きな百貨店がなかったりはしますが、必要なものは基本なんでもあり、かつたくさんの自然にも囲まれているので、とても環境のいい都会なのです。
余分なものがない「ちょうどいい」街なのかもしれません。
冬になると住宅街の上を白鳥が飛んでいきます。素敵な光景です。
池に氷が張るとカモたちが体を休めに来ます。
ちょっと足を伸ばせば上質な雪山にたくさんのスキー場、秘湯もいっぱいの温泉、カヌーやカヤックを買いたくなる湖が点在しています。
雪。不思議な存在。
ほとんど雪の積もらないところから来たので、未だに雪が積もるとわくわくします。
積もってしまうともうブーツは履けませんw長靴オンリーです。
雪で街が埋もれると、音が響かなくなるのでしょうか。妙な静けさが街中を支配します。そのなかを長靴でぎゅっ、ぎゅっと雪を踏み鳴らして歩く。そして雪に光が反射するのか夜でもなんだか薄ら明るいのです。
ほわんと雪あかりに浮かぶ街の、響かない雪を踏みしめる音。
なんとも言えない不思議な感覚。雪が積もる前と後では別の街に見えます。
といっても盛岡は周囲の土地に比べて気温が低いけど雪が少ないので、雪国のわりには住みやすいところです。
山形や秋田にも遊びに行きましたが、雪の量が格段にちがう…。雪かき大変だろうな…。
街歩き推奨。まだまだ奥が深い街の魅力。
盛岡の魅力の一つに町並みがあります。
材木町、鉈屋町、紺屋町など、名称はもちろん、古い建物がいまでも愛されて、普通に現役で溶け込んでいる。
完全な車社会ですが、私は盛岡は歩いたほうが楽しいと思っています。
そして探せば探すほど素敵なお店や場所が見つかるのです。その小さな探検のような楽しさがたまりません。盛岡さんぽは私が歩いて見つけた、その探検記録でもあります。
盛岡の人のあたたかさ。
最後に忘れてはいけないのが、人の暖かさです。
なんでそんなにみんないい人なのか、ほんとに親切で真面目な方にしか出会ったことがありません。
外から来た私のこともそっと輪に入れてくれる、押し付けがましくない、心遣いの見える優しさがあります。
ある大手自動車メーカーが、岩手県にだけ採用の募集をかける話を聞いたことがあります。かなり納得できます。
一番心に染みたのが、「さんさ踊り」を見に行った時。
さんさは盛岡の夏の祭りで、3万人以上が参加して4日間目抜き通りをパレードする、太鼓を叩きながら踊るでっかい盆踊りのようなものです。
それだけでもすごい迫力で感動するのですが、出場者がパレードした後、最後は出場者だけでなく、大人も子供もそれまで見物してた人々が、みーんな一緒に混ざって踊り出すのです。
掛け声は「さっこらちょいわやっせー」。
あっちもこっちも、ぐるぐる大きな輪になって、みんなみんなリズミカルに踊って跳ねる。
今日会ったばかりでも、ちゃんと踊れなくてもいいのです。楽しければいいのです。
実際みんなとってもいい笑顔でした。
それを見た時、ちょっと泣けました。
私が今まで知ってた盆踊りはこんなのじゃなかった。盛岡に来て、この街でくらせてよかったと心から思いました。
盛岡の良さが少しでも広がることを祈って、ちょっとづつ、盛岡さんぽを作っています。