気取らないけど気配りの行き届いた、街の喧騒からは切り離された空間。
10席くらいの小さなカフェですが、扉を開けた途端違う世界に入ったみたいで心地よく、一人で行っても余裕で長時間ゆっくり出来てしまいます。
私は一人でご飯を食べに行ったり、お茶しに行くのも結構好きです。
昔はそうでもなかったのですが、盛岡に来てからは、こちらの人の暖かさや優しさに触れて、お店の人とおしゃべりする楽しみが増えました。
このカフェのご主人もとっても物腰の柔らかな素敵な人で、話しかけるお客さんが多いのもうなずける感じ。
そういう意味ではこの「六月の鹿」の特等席はカウンターかもしれません。
一度聞いたら忘れられない
不思議な名前「六月の鹿」。
3年目のまだ新しいカフェだそうです。
谷川俊太郎の詩「 一億光年の孤独」を思い出す、情景的なお店の名前。
6月はご主人のお誕生日だからだそうですが、他のどの月でもない6月を選んだのはとってもいいなと思います。
黄緑色の若葉をついばむ、春先に生えたばかりの柔らかい角を持つ若い雄鹿。
夏を過ぎると毛の硬さを思い浮かべるし、冬だと野生感が強すぎる。
そう思うと、お店の爽やかな雰囲気にも合ってる気がします。
四角い窓は、桜山の風景画。
お店の入り口と奥にある、大きなほぼ真四角の2つの窓。
これって憎い演出です…
盛岡城外堀の御池と桜山の四季の景色がそのまま絵画みたいになってます。
この窓が心を落ち着かせてくれます。
そこにたおやかなコーヒーの香り。
「六月の鹿」ではお店の中に焙煎機があり、オリジナルで豆を焙煎しています。そういうお店ってけっこうコーヒーの香ばしい匂いがけっこう染み付いているようなイメージなのですが、このカフェはそれがありません。
四角い風景画に似合う、ちょうどいい、まさにたおやかなコーヒーの香りなのです。
ひきたての豆を丁寧にネルドリップしたコーヒー。
盛岡では有名なネルドリップのお店、「機屋」さんで修行されたそうで、こちらでも同じようにコーヒーを入れてくれます。
時間をかけて丁寧に入れてくれるので、余裕のある時に行くのがおすすめ。
コーヒーの種類は前とは変わっていました。
その時々で一番いいものを出してくるのかもしれません。
私はマンデリンがあれば、一番嬉しい。
ケーキも一つ一つ手作り。ケーキ皿もすてき。
スコーンや季節に合わせたお菓子も手作りなさっているそうです。
この日はリンゴのチョコレートケーキ。
チョコの色と、お皿の渋い青がかわいすぎる…!食器好きなので、この色の組み合わせに萌えました。
そして、カフェオレ、とっても美味しいです。
ほんのり甘いミルクが多め(嬉しい)で、後味が鼻に抜けるコーヒーの香りで終わる、飲み心地の良さ。カップが大きめなのもいいですね!
コーヒー豆も買って帰れます。
あの小さい焙煎機でこんだけ用意するの大変だろうな…と思っちゃいますが、オリジナルのコーヒー豆が買って帰れます。
心落ち着く空間で美味しいコーヒーを飲み、ご主人と楽しいおしゃべりをして、気に入った豆を買って帰る。
なんかそれだけでステキな一日になってしまいそう…!
ご主人のコーヒーの香りの話が印象的でした。
おすすめのお店や盛岡についても教えて下さる話しやすい方なのですが、コーヒーの香りについて、ひくとき、淹れるとき、飲むとき、においが違う、自分は淹れる時が一番好きだとおっしゃっていました。
だからカフェ屋になったのですね、とっても納得。
写真もすてきなお店のサイトです。